AKATSUKI JAPAN

Okinawa2023 日本代表応援サイト

特集記事

2023.08.14

富永啓生|アメリカ修行で成長した和製ピュアシューター

富永啓生|TOMINAGA Keisei
SG/188㎝/80kg/2001年2月1日生まれ/ネブラスカ大学/レンジャー大学出身/愛知県出身

 

世界に挑む!男子日本代表候補インタビュー

富永啓生|アメリカ修行で成長した和製ピュアシューター

 

ディープスリーを武器に日本代表にとって欠かせない得点源に

富永啓生が高校3年生になって迎えた最後のウインターカップ。所属する桜丘高校は準決勝で福岡第一高校に敗れ、続く3位決定戦で帝京長岡高校に勝利して3位でのフィニッシュとなった。それでも富永自身はエースとして大活躍。1試合平均39.8得点と言う驚異のスタッツをマークし大会得点王に。大会ベスト5にも選出されている。

そして高校卒業後はアメリカのレンジャーカレッジ(短大)に進学。元バスケットボール日本代表の父・啓之氏、元日本リーグ選手の母・ひとみさんを両親に持つ富永は、「父が元日本代表だったこともあり、物心ついたときから自分も将来は父のように日本代表になったり、アメリカのNBAでプレーしたいという目標を持っていました」と言うから、高校卒業後にバスケットボールの本場アメリカに留学したことはなんの不思議もなかった。

もともとシュート力が高かった富永だが、渡米して手に入れた武器が3Pラインより2~3m後方から放つディープスリーだ。「アメリカの大学でプレーしている選手は背が高いのはもちろん手も長いので、3Pラインからのシュートだとブロックされてしまいます。そのため自然とディープスリーを打つようになりました。そうして距離を伸ばすことにより、自分のプレーの幅も広がっていることを感じています」と富永。

時折コート中央付近に描かれたチームロゴ付近から打つ“ロゴスリー”をも決めてしまう左手から放つディープスリーは、生来持っていたシュートセンスに努力が加わった結果手に入れたもの。「日頃の練習で養った距離感の賜物です。その感覚をしっかり持っているので、たまたま決まっているのではなく、決める自信を持って打っています」とのこと。そのシュート力はNBAゴールデンステート・ウォリアーズのエース、ステフィン・カリーに例えられることも多く、実際、以前の富永は憧れの選手としてカリーを挙げていたが、現在では『同じコートに立ってマッチアップしたいと思うようになりました』という。それこそが、選手としての成長の証しだろう。


一瞬でも隙を見せれば瞬時に3Pシュートを打ち抜く

そうしてディープスリーを武器として手に入れた富永は、東京2020オリンピックではバスケットボール3×3の日本代表としてプレーし、準々決勝まで勝ち上がって6位フィニッシュ。その後、2022年7月に5人制の日本代表に選ばれ、FIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選Window 3のオーストラリア戦で代表デビュー。試合には52‐98で負けたものの、富永は3Pシュート5本を含む18得点を挙げチームハイをマークする活躍を見せている。そして2022年7月に行われたFIBAアジアカップ2022では、チームはオーストラリアに85‐99で敗れたが、富永は両チームを通じてハイとなる33得点(含む3Pシュート8本)をマーク。日本代表にとって欠かせない選手であることを見せつけ、指揮官のトム・ホーバスヘッドコーチ(HC)も「得点源の一人で、日本代表には間違いなくプラス」と富永を評している。

 

「楽しまないともったいない」

そうして日本代表として活躍しつつ、拠点としているアメリカの大学でもバスケットボールの実力が認められ、2021‐22シーズンよりネブラスカ大学に編入。NCAA挑戦1年目は「短大からレベルがグンッと上がって、それに慣れるのが大変でした」と言うが、2年目は環境に順応したこと、また「よりレベルが高い環境で戦う上で体作りの重要性は増してくる」と体重を70kgから80kgに増やしフィジカル的にも強くなったことで、2022‐23シーズンは1試合平均13.1得点、3Pシュート成功率40.0%を記録。ビッグ10カンファレンスの特別賞(2023 Honorable-Mention All-Big Ten)を受賞している。

さらに今年5月にはペイサーズのプレドラフト・ワークアウトに参加。コーチ陣からオフェンスについては評価を得て、ディフェンスについては富永自身も1対1の体の強さに課題を感じたようだが、「もう1~2段階実力を上げれば、もっといろいろなプレーができるだろうなと思いました」という手応えも。「本格的にNBAでプレーするにはどうしていくべきかを意識できている」と充実した日々を過ごしてきた。

来るFIBAバスケットボールワールドカップ2023でも活躍が期待されるが、「日本代表として選んでもらえていることはすごく光栄ですし、気持ちが高ぶっている部分もあります。でも、まずはとにかく楽しむことを毎日意識しています」と富永。実は富永、この「楽しむこと」を自らのテーマとしているようで、大活躍した桜丘高校3年時のウインターカップの試合後インタビューで口にしたのが「楽しまないともったいない」という言葉。この「楽しまないともったいない」というフレーズはその後、桜丘高校の応援旗にも書かれて現在もその精神が受け継がれている。

8月25日に開幕するFIBAバスケットボールワールドカップ2023では、FIBAランキング14位(2023年6月27日付)の日本は初戦でドイツ(同7位)と対戦する。富永の3Pシュートがどのくらいの確率で決まるかが勝敗を左右しそうだが、富永自身も「まず自分の武器である3Pシュートは一番アピールしないといけないところですし、チームとしても必要とされているところだと思います。ホーバスHCからも積極的に3Pシュートやディープスリーを打ってほしいと言われていて、空いているときに打たないと怒られるぐらいです」とオフェンス、特にロングレンジのシュートについては高い意識を持っている。ホーバスHCも「ボールを持たないときの動きが良くなっている」と富永にかける期待は大きく、富永がどれだけシュートを打てるかがカギを握るだろう。

最近ではその正確無比なディープスリーが様々なメディアで取り上げられるようになり注目度が高まっているが「すごくうれしいことですし、あとはそれに自分がプレーで応えるだけ、期待を裏切らないようなプレーをできるように心がけています」と気負いはない。その裏には「しっかりと自分の持ち味を出せていると思いますし、チームとしての連携も本当に一日一日良くなってきているという印象がすごくあります」と、合宿や遠征を積み重ねてきたことで自信を付けた部分もあるだろう。「日本代表の可能性は無限大だと思います」とも言う富永が、FIBAバスケットボールワールドカップ2023でどんな衝撃をもたらしてくれるのか楽しみだ。


アメリカ大学バスケで磨いたシュートを発揮するときが来た

コラム一覧

チケットを購入する

  1. バスケ ワールドカップ 2023
  2. コラム
  3. 富永啓生|アメリカ修行で成長した和製ピュアシューター