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2023.08.18

吉井裕鷹|世界デビューを心待ちにする大型オールラウンダー

高い運動能力を生かしたプレーが吉井裕鷹の武器

吉井裕鷹|Hirotaka YOSHII
SF/196㎝/94㎏/1998年6月4日生まれ/アルバルク東京/大阪学院大学出身/大阪府出身

 

世界に挑む!男子日本代表候補インタビュー

吉井裕鷹|世界デビューを心待ちにする大型オールラウンダー

 

プレースタイルの原点は中学時代の恩師による指導

小学4年生のときにバスケットボールを始め、中学2年生のとき、すでに身長186㎝だったという吉井裕鷹。一般的に子どもの頃から身長が高い選手は、ゴール下のプレーが多くなり、ドリブルやロングシュートは苦手というケースが多いが、吉井は当時からドライブや3Pシュートなども楽しく打っていたという。中学2年生のときに出場した第26回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会の決勝トーナメント1回戦では、ベンチスタートながらチームハイの11得点をマークしている(試合はテーブス海[アルバルク東京]擁する兵庫に42‐57で敗退)。

吉井が、今、オールラウンドにプレーできるのも、東大阪市立金岡中学時代のコーチが、ポジションに関係なく自由にプレーをさせてくれる指導者だったから。そこでゴール下のプレーだけでなく、ドライブや3Pシュートなどオールラウンドなスタイルを学ぶことができたのだ。

そして進学した大阪学院大学高校では、高橋渉コーチの下、さらに磨きをかけていく。その中でまず取り組んだのが、シュートフォームの改善だ。3Pシュートを打つ際、脇が開き気味になるクセがあったため、ボールを真っすぐに飛ばす練習を繰り返し、シュートフォームを矯正した。また、上級生になると筋肉がつき、インサイドでの体を張ったプレーにも強さが増していく。ドライブができてシュート力があり、体も強い。U19日本代表候補合宿に呼ばれたのは、必然だった。

その大阪学院大学高校時代は、インターハイ(1年、2年)、ウインターカップ(3年)に出場。卒業後は強豪校が集まる関東の大学に進学するという選択肢もあったが、「打倒・関東」を目標に関西に残ることを決意する。

2017年に大阪学院大学に入学すると、すぐに主力となり、チームは第44回関西学生選手権で優勝。吉井自身は、新人賞と優秀選手賞を獲得している。そして2年生になると、プロリーグにも目を向け始め、大阪エヴェッサに特別指定選手として入団。B.LEAGUE2018-19シーズンの終盤にはスターターの座をつかむ試合も出てきた。

3年生のときにはルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ(HC/サンロッカーズ渋谷)率いる当時のA東京の練習生となり、厳しい世界に自ら身を置くことを選択。「試合の緊張感同様に行われている日々の練習を肌で感じたことで、練習への取り組み方が大きく変わるきっかけとなりました」と言う。4年次にはA東京の特別指定選手となり、卒業後の2021-22シーズンよりA東京と選手契約を結び、今年3シーズンを迎えた。

本契約を勝ち取り、現在はアルバルク東京でプレー

日々プレーに安定感を増す大型オールラウンドプレーヤー

吉井の日本代表デビュー戦は、2022年7月1日、メルボルンで行われたFIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選のWindow3。相手は世界ランキング3位のオーストラリアで、吉井は20分出場し、3Pシュート1本と少し物足りないスタッツに。それでも試合を重ねるごとに持ち味を発揮するようになり、11月15日のWindow5カザフスタン戦では3Pシュートを含む15得点をもぎ取るチームハイの活躍で勝利を呼び込んだ。

「ずっと日本代表に入りたいと思っていたので、実際に日本代表になれたときは人生においてターニングポイントなりました。それからは、日本代表に残り続けたいと思っていて、そのためにはチーム内の競争に負けないよう常にハードにバスケをすることを大事にしています。そして、コーチの求めていること、チームで何をしてほしいのかを感じ続けて、それを常にチェックし続けるようにもしています」と、何としてもつかんだ代表の座を離さない意気込みを語る。

だが同時に、「日本代表に入ってプライドみたいなものはついたと思います。ですから、クラブに戻って試合に出られないときは悔しいと思いますし、『日本代表なのに、こんなんでいいのか』と常に自分を振り返っています」という本音も漏らす。自チームのA東京では外国籍選手とポジションがかぶるため、どうしても出場時間が限られてしまう厳しい環境にあるのだ。

 

日本代表での存在感は日に日に大きくなっている

それでも、2021-22シーズンは1試合平均13分13秒だった出場時間が2022-23シーズンは15分43秒に。スタメンでの起用も、2021-22シーズンは僅か2試合(レギュラーシーズン)だったが、2022-23シーズンは22試合に。チームの中での信頼度が高まっている証しだが、吉井自身は「プレーイングタイムをもっと上げるには、コーチ陣が要求していることを瞬時に判断・察知し、それを常に体現していかなければなりません。またフリーでボールをもらったときに、しっかりと3Pシュートを決め切る力も必要だと思います」とハッキリと課題を意識。その上で、「うまくいかないときは切り替えていますし、以前のように投げやりになることや、どうでもいいと思うようなことは少なくなったと思います」とメンタルタフネスも身につけた。

その意識は日本代表として良い方向に作用し、今年に入り行われた日本代表国際強化試合2023では、コートに立てば必ず得点を挙げている吉井。しかもウィングとビッグマンの両ポジションをこなせる安定したプレーはチームに欠かせないもので、ファストブレイクからのダンクシュートや、ガードとの息の合ったアリウープで会場を沸かせることも。8月25日に開幕するFIBAバスケットボールワールドカップ2023では、「日本のチーム力が勝利の鍵を握ると思います。(バスケは)個人で戦っているわけではなく、周りの選手がどのように動いているのかを瞬時に察知して、常に対応し続けるというのが大事だと思います」と、これまで日本代表が積み上げてきたバスケの継続性とチームケミストリーを強調する吉井。コート外では、乗せられると“マツケンサンバ”や特技と自負している“ヲタ芸”を見せるなどユニークな面もある吉井は、どんなプレーを見せてくれるのだろうか。

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