特集記事
2023.08.18
川真田紘也|自身の役割を愚直に遂行
川真田紘也 | Koya KAWAMATA
C/204㎝/110kg/1998年6月16日生まれ/滋賀レイクス/天理大学出身/徳島県出身
世界に挑む!男子日本代表候補インタビュー
川真田紘也|自身の役割を愚直に遂行
陸上部に入るつもりがバスケットボール部に
バスケットボールを始めたのは中学校に入学してからという川真田紘也。204㎝で110kgという恵まれた体格を生かした豪快なダンク、ブロックショットが最大の武器だが、髪を金髪、青髪にするなどユニークな一面も。それについては、「バスケットボールをするのが僕の仕事ですが、金髪や青髪にして注目してもらうことも選手としての価値の一つかなと。僕のファンが増えるのも良し、バスケットボールファンが増えるのも良し、滋賀レイクスファンが増えるのも良し。SNSなど入り口はいろいろあるので、『こんな選手がおるんや』と興味を持ってもらえたり、バスケットボールの魅力や面白さをいろんな人に伝えられたらええなという気持ちを込めて、髪色を変えてます」とのこと。
またバスケットボールを始めたきっかけも面白い。所属する滋賀レイクスの公式ホームページのQ&Aによると「中学に入学した際に、小学生のときにいろんなスポーツをした中で得意だった陸上部に入ろうと思ったが、陸上部に先生がいないと聞いて友達から誘われていたバスケットボール部に入った。そのあと陸上部に先生がいることが分かり『なんじゃそりゃ』と思いました」というエピソードが掲載されている。そうした大らかな一面とともに、インタビューのコメントからも分かるように時折、関西弁が出るのも川真田の魅力の一つだ。
徳島中学校時代、城南高校時代ともに全国大会への出場経験はないが、「徳島県の中では強豪校である城南高校に行くことができて、高いレベルの指導を受け、メンタル面でも鍛えられたことが今につながっていると思います。センターとしての動きだけでなく、校庭を何十周も走って体力を鍛えたことが今のバスケットボールスタイルの礎となっています。城南高校時代のコーチ、仲間たちには感謝しています」と高校時代を振り返る。
その後に進んだ天理大学では、「コーチが、センターである自分をメインとするスタイルのバスケットボールをしてくれました。そのため自分のプレー一つでチームの流れが変わると思っていましたし、使い続けてもらったことで自信にもなりました」と、頼もしいセンターへと成長。4年生となった2020年にはU22日本代表候補となり、全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)では1回戦で23得点、13リバウンドの活躍を見せチームの勝利に貢献する。そして続く2回戦では、大倉颯太(千葉ジェッツ)、西田優大(シーホース三河)、佐土原遼(ファイティングイーグルス名古屋)、津屋一球(サンロッカーズ渋谷)、八村阿蓮(群馬クレインサンダーズ)といったスター擁する東海大学と対戦。結果的に62‐86で敗れるが、川真田自身は「東海大学の実力が高いのは分かっていましたが、『ネームバリューで負けていたらあかん』と自分が先陣を切っていこうと思っていました」と22得点、9リバウンドをマークし気を吐いた。
ゴール下のシュート、リバウンド、ブロックショットと、自分ができることに愚直に取り組む
B.LEAGUEでは、大学4年生時の2020-21シーズンに特別指定選手としてB2佐賀バルーナーズでプレー。「それほど試合に出られたわけじゃなく、やっぱりプロの厳しさというのを味わいました。だからこそ、プロではどう生きていくのか、どういうプレーを自分がやるべきなのかを考えました」と自ら考え、環境に応じて自らを変化させていけるのも川真田の持ち味。翌2021‐22シーズンに滋賀レイクス(当時は滋賀レイクスターズ)に移籍すると、2022-23シーズンには出場機会も増えていく。センターとして外国籍選手とマッチアップすることがほとんどだが、「みんなやっぱりレベルが高いですが、全然歯が立たないかと言われるとそんなわけでもなく。全部勝てないにしろ、どうすればもっと相手を止めれるかということを考えながらプレーすることで、何とか渡り合ってるかなと感じます」と手応えを得ている。
そうした活躍がトム・ホーバスヘッドコーチ(HC)の目に留まり、日本代表に選ばれた。「自分も日本代表になるチャンスはあると思っていたので、選ばれたときはうれしかったです。同時に、初めの頃は『自分がこの舞台におっていいのかな?』みたいな弱気の部分がありました。ホーバスHCが『君には能力がある。ポテンシャルがある』と言ってくれたので、そう言ってくれるホーバスHCの力になりたいと思いました」と川真田。また、西田優大、吉井裕鷹といった同じ年代のプレーヤーがいることも心強く、「西田は同じ徳島県出身で中学生のときから知っていますし、吉井とは関西の大学リーグでバチバチやり合っていました。同期がいることで自分も頑張ろうと思いますし、高め合う仲間がいて切磋琢磨できていると思います」と言う。
B.LEAGUEでも外国籍選手とのマッチアップで成長を続ける
そして、日本代表デビューとなったFIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選Window6のバーレーン戦では6分15秒の出場時間で2得点、2リバウンド。「あまり活躍できていなかった。そのとき、やっぱり選ばれるだけではダメで、選ばれて何をするかが大事と感じました。もうちょっとできると思っていましたが、準備不足だったなと思います」と厳しい評価を自分に下す。
その後、強化合宿やチャイニーズ・タイペイ、韓国との強化試合を経て「徐々に慣れてきました。僕はジョシュ・ホーキンソンのように何でもできるセンターではありませんし、3Pシュートも得意ではない。ゴール下のシュートやリバウンド、ブロックショットといった自分のできることを一つひとつやっていくことが一番大事だと思います」と川真田。特に7月23日の韓国との第2戦では、ブロックショット2本を決めチームを勢い付けている。
8月25日に開幕するFIBAバスケットボールワールドカップ2023についても、「自分のやるべきことを愚直にやるだけです。やるべきことをしっかりできれば通用すると思っているので、1試合1試合、自分ができる最大限を発揮したいと思っています」と、目の前の戦いに集中するのみだ。
同世代のチームメートと高めあっていく